カンボジアの大学生

 カンボジアには各地に大学があり、寄付金を通じてあたらしく大学がたてられたり、IT学部や看護学部など職業のニーズにあった学部が新たに既存の大学に新設されるなど教育に対する関心が高まっています。

 ですが、カンボジアのほとんどの大学は、学問追求に対する姿勢はあまり評価できないでしょう。先進国のように最先端の技術を大学組織を上げて生み出したり、政府と大学、企業がタッグをくんでならたなプロジェクトに着手すると言った試みもありません。

 ではこちらの大学では学生に一体何を教えているのかというと、大学を卒業して仕事を得られるスキルを身につける術を学問として教えているのです。簡単に言えば大学=職業訓練学校みたいなものです。学科も学術的な専門分野は少なく、実際に仕事を得られる極めて実践的な内容を教える学科が多いです。

例えば、観光学科、IT学科、ビジネスマネージメント学科、セールス学科、看護学科 などです。

 カンボジアに一番人気の学科はと大学側に聞いてみたところ観光学科に入学を希望する生徒が多いそうです。カンボジアでは観光業が外資を獲得する手段の中で重要な産業の一つで、各地の遺跡の周りではホテルやゲストハウスの建設ラッシュが始まっており、ホテル労働者のニーズも高まっています。また外資系ホテルの参入が増えており、より良い条件で働きたい学生は観光学科の他に日本語学科、英語学科で他言語を学んで、外資ホテルの就職を目指すそうです。

 

 ホテルで働きたい大学生は早い段階でホテルでレセプションやコックのアルバイトの仕事を得て働きます。アルバイトと言っても日本と違ってカンボジアはパートタイムというワークスタイルがないため正社員ではなく、見習いというくくりで8時間働かなければならない現状があります。大学に行った後は自習する時間もなくホテルでの仕事に明け暮れることになります。そのため学生の学問のレベルは授業内での輪読や聴講によって得られたものだけで、なかなか能力を開発するのが難しいです。 

 ただ8時間働かない現状は、学生がその事実を望んでいるということもあります。大学の学費はフルタイムで土日を抜いて一ヶ月働いた月収の3倍です。一ヶ月1万円の給与と考えると3万円が学費になる訳です。ですので奨学金制度に乏しいカンボジアの教育制度の下では学生はフルタイムで働かなければ、お金持ち以外は、学費を払っていくのはかなり難しくなる訳です。

 

 まだまだ問題が山積みのカンボジアの教育問題ですが、政府が本腰を上げて一つ一つ問題をクリアしていくことを切に願います。あまりにも教育に関する様々な問題を寄付やボランティア、他国の政策に依存し過ぎているように感じます。

 

 

そういう背景もあって、観光業への就職を目指す大学生が年々増えています。