カンボジアの格闘技

  

      

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  カンボジアでは様々な格闘技や武道が存在しますが、現在は国技として実用的に現存しているものはクメールボクシングです。彼らの主張ではムエタイの元になったとか。練習生の多くが一攫千金を夢見てタイに遠征してタイトルの獲得を目指します。しかしカンボジア人のタイでの活動は苦難を極めます。人種の壁によって不当な扱いをうけ時にはファイトマネーも未払だったりするそうです。そんなカンボジアの格闘技、武道の現状について話したいと思います。

 

 

 

 カンボジアの格闘技の歴史

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カンボジアは誇り高き長い歴史を持つ国家で、王家の歴史はアンコール王朝の時代までさかのぼり、東南アジアの国々の中で最も古く先んじて文明が勃興し、当時周辺の国家を従えていました。アンコール王朝の繁栄と栄華を支えた国力の源泉はその軍事力と兵士が持つ熟練した格闘技術です。 1000年間、現在に至るまで、軍や警察の高官は武道の達人であることが求められ、またそれぞれの戦闘能力も卓越している必要がありました。

 

 多くの格闘技が失伝

 

 カンボジアでは数々の格闘技が存在しますが、現存する格闘技は、欧米人によって発見された数種類に限ります。というのもクメールルージュの時代に共産党政権によって多くの武道家達が殺害され、ほとんどの格闘技が失伝してしまっているのです。ベトナム軍によるカンボジア占領時代、フランス軍による統治時代も同様に武道が禁止されましたが、死を覚悟して鍛錬に励む武道家もいました。

 

 口伝による秘密主義

 

カンボジア総人口のおよそ4割近くが虐殺され、150年以上繰り返し続く占領、植民地の負の連鎖史から立ち直りを見せかけている最中、伝統武道再建の運動を起こすのは簡単な務めではありません。プノンペンスポーツは最古のクメール武道 ボッカタオに精通しているクメールルージュからの生き残りの一人である81歳の武道家にスポットライトを当て記事を掲載しました。この記事によるとこの男性はボッカタオを60年前に2年間修行していました。彼によるとこの武道に関する全ての事は口伝で伝えられ、限られた門下いがいは口外を禁止された。2年間で達人と呼ばれる域にまでは達するが、極めて少数の選ばれた人間にだけ許された技術で、こうした古い伝統的な文化背景が、文化遺産の維持を極めて難しいものにしていると語っています。

 

 現代のクメール格闘技

代表的なクメール式武術で戦場などて敵の奇襲を切り抜けるために編み出されたのがクメールボクシングです。これはカンボジアの国技になっています。クメールボクシングはキックやパンチ、肘、膝など様々な攻撃部位を繰り出す戦闘法を持つ武道でムエタイに近いキックボクシングのような者です。カンボジア人は、ムエタイは元々クメール武術が発祥で、タイにクメールボクシングが伝わり、ムエタイとして知名度を上げたものだと主張しています。

 

 修行者の実態

 

多くの選手は貧困から抜け出すために一攫千金を狙って試合に身を投じます。しかしカンボジア、トップファイターの賞金金額は1試合30ドル程度。ベテラン選手でも75ドルしか稼げない。そのためタイに遠征して出稼ぎを行う者は少なくありません。タイでムエタイ選手として活躍し、タイトルを賭けて戦うという事はカンボジアでの認知度をあげ、お金を稼ぐことに直結すると信じられています。しかし、多くの選手は人種の壁が立ちはだかり、不当な扱いによって苦難を強いられることがあります。ファイトマネーの不払いや、不当な金額での取引は日常茶飯事だそうです。

 

 カンボジア若者の格闘技の関心

 

 カンボジア武道委員会の職員の話によると若者の伝統武道に対する興味は失われた訳ではないという。「彼らは武道を学びたい。しかし、問題はカンボジアの若者が、テコンドーや空手、柔道、カンフーなど国際的に知名度があり競技人口が多い格闘技にどうしても興味がなびいてしまう事で、修練者に帯の色によって熟練度を示す機会を与えたり、国際大会に出場して実力を競い合わせるという機会も与えたりすることは若者を引きつける一つの要因になっています。柔道は長い間オリンピックの正式種目として世界中で認知されているし、カンフー(ウーシュー)は2002年にIOCの正式承認競技になり、今後オリンピック種目に入る兆しがある。そんな中でも我々は悲観せずにクメール武術を盛り上げてくれる若者が出てきてくれる事を期待しています。」と話しています。