若者の起業風土が育つカンボジア


 こちらカンボジアでも起業を志す若者が増えておりITカンファレンスを中心として起業家を育成する風土が育ってきている。
 
 彼らは自分の没頭している研究分野に関連したビジネスを起こす事は、雇われるよりも有益だと考え自分が事業のボスになれることに魅力を感じている。そのため卒業生の中には卒業後、起業という選択肢をとる若者も少なくない。しかし若さ故、遭遇する苦難は多く、起業後の厳しさを目の当たりにする。
 
 経済アナリストのカン・チャンダラロットは、「ほとんどの若い起業家は両親や親戚のサポートをうけながら経営しているが、業界の経験や知識が不足しているため度々困難に直面する。立ち上げの段階で両親から金銭的な援助を受けるのは良いと思うが、経営を続けていく中で、参入している業界内のローカル企業、グローバル企業のライバルと競争する場合、徐々に投資家への資金調達の方向へ切り替えなければ成長が滞り生き残る事は難しくなるだろう。これは彼らの超えなければならない壁だ。小さく産声を上げた企業はスタートの段階ではどこも競争力など持っていない。だから彼らは市場を深く観察して、自分の会社の強みを見つけ出しそこに集中的に資本を投下し事業を拡大の準備をする。そうすればうまく軌道に乗る」と話している
 
  ビジネスを展開していく上で若者が求められる資質は問題解決能力だと語るのはチャン・バンリーン(26)、プノンペンに展開するカフェショップ、ブラウンコーヒーのオーナーだ。

彼は若い起業家に、自分が経営しているビジネス、あるいは自分がこれから起こそうとしているビジネスに対して何をやりたいのか、何を目指しているのかという明確なビジョンや目標を持つ事が必要だとアドバイスした。

「とうぜんビジネスを始めた当初は競争相手よりもお金はない。少ないお金でビジネスをまわし、知恵を絞ってアイディアを出すんだ。それと自分のビジネスは自分が興味のある分野に厳選する事。そうでなければ継続的に経営は続けられない。」

 チャン・バンリーンはブラウンコーヒーを2年半経営しており、両親から資金提供を受けている。 
 起業を目指す若者が直面する困難やビジネスの運営にアドバイスをするため、AIESEC(アイセック)は毎年ビジネスプランコンテストを開催している。アイセックカンボジアのチャンピセイ副代表は、「1000グローバルリーダーズプログラムは、卒業生のビジネススキルや能力の開発を行う起業家育成プログラムで、プログラムを学んでいく過程で得られたアイディアを元にビジネスプランを作成しコンテストで競い合います。我々は彼らに起業家思考やビジネスを起こす上でのビジネスマインドセットを中心にプログラムを組んでいます。」と語った。
 
 このプログラムは2010年から運営されており、延べ500人の参加者がビジネスプランを競い合った。

 参加者には自信という壁が立ちはだかる。自信の欠如やパブリックスピーキングの恐れはビジネスプランコンテストにおいて参加者の障害になっている。彼女は大学の学内の授業だけで満足している学生に学んだ内容を積極的に広めてアウトプットする重要性をアドバイスし、課外のアクティビティーに積極的に参加するようすすめた。

非営利団体Junior Chamber International Cambodiaの前代表で、TNC and Pizza World プノンペンのオーナーであるチー・シラは
 「ビジネスで成功するための秘訣は時流に乗るという事も重要だが、肝心な事は違いを作り、差別化をはかること。もし、違いを作り出せれば、それだけで優位に立つ事ができるし、競争力の強い競合と土俵を変えて挑む事もできる。
 起業当初は他に浮気しないで自分のビジネスに集中すること。そしてとにかく若いビジネスマンはハードに挑戦する事が大事だ。うまくスマートにビジネスをすることよりも、できることは全てやるという心構えで挑むべきだろう。」と語っている。